[D4] 四半期アップデート – 2021年10月

[D4] 四半期アップデート – 2021年10月

公式ブログにて公開された「「ディアブロ IV」四半期アップデート – 2021年10月」の内容を要約して紹介します。2021年10月の今回は、スキルやダンジョン、モンスターなど様々なサウンドについて述べられています。全文は公式ブログを御覧ください。

目次


イントロダクション
サウンドデザイン


イントロダクション

皆さんこんにちは。最新の「ディアブロ IV」四半期アップデートをお届けいたします。

私たちは数年かけて、「ディアブロ IV」に大きな情熱を持つ強力なチームを結成しました。「ディアブロ」のファンである皆さんは、このチームの重要な役割を担っています。皆さんからの貴重なフィードバックの助けを借りて、私たちは継続的にゲーム体験を洗練させて、その深みを増してきました。まだ道のりは長く、様々な変化がありましたが、本作に懸ける意気込みが揺らぐことはありません。

本日は「ディアブロ IV」のサウンドデザインについて詳しくお話しします。サウンドは過小評価されることがあるものの、ダメージを受けていることをプレイヤーに知らせたり、ゲーム内でボタンを押したことを確認したり、激しい戦闘を演出したりと、ゲームのデザインには欠かせない存在です。

この四半期アップデートをお楽しみいただければ幸いです。ご意見やご感想をお待ちしています。以前にお約束していたように、次のブログではエンドゲームシステムとビジュアルエフェクトを取り上げます。

– ジョー・シェリー
「ディアブロ IV」ゲームディレクター

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サウンドデザイン

皆さん、こんにちは!「ディアブロ IV」のサウンドスーパーバイザーのクリス・ジャンパです。

まずは本作のサウンドの背後にあるオーディオ処理やコンテンツ、目指す所について詳しくお話しします。始める前に、四半期アップデートのブログを読みながら聴いてもらいたいBGMをご用意いたしました。ぜひ、こちらのBGMを聴いてダークな風景をお楽しみください。

ゲーム内のサウンドと音楽は目に見えない接着剤として、ストーリーテリングを支え、プレイヤーであるあなたをキャラクターやそのゲームプレイアクションに没入できるよう結びつけてくれます。また、私たちは言うまでもありませんが、聴覚に障害を持つ人たちにも「ディアブロ IV」を楽しんでもらいたいと考えています。そこで、聴覚・視覚障害を持つ人たちも楽しめるように体験を拡大する手段を取るつもりです。様々なアクセシビリティ機能も開発中ですので、これについても、いずれお話しできればと願っています。


悪魔は細部に宿る

サウンドデザイナーとして掲げた大きな目標のひとつが、ゲーム内でリアルタイムで最高品質のサウンドを再生することで、ゲーム内世界におけるリアリティを高めて地に足のついたものだと感じさせることでした。ゲームプレイに関しては、再生されるオーディオのランダム性は非常に重要です。現実世界では、全く同じように聞こえる音はありません。そのため、ゲーム内で聞こえる際には、常にわずかにランダム化されたバリエーションを導入するように心がけています。

「ディアブロ IV」のオーディオを制作するにあたってのもうひとつの大きな目標は、画面上で起こるほぼすべての物事にサウンドを適用することでした。

ただし、できる限り多くサウンドを詰め込んだからといって、それを毎回聞かなければいけないという訳ではありません。ゲーム内のサウンド再生エンジンは、基本ルールとして作成した厳格な設定に基づき、同時にあまりも多くのサウンドを再生しないように制御されています。


英雄の炎のスキル

ゲーム用にユニークで素敵な様々なサウンドを録音することができたので、私たちはサウンドデザインを開始するにあたって、大量のサウンドソースから選んで編集することができました。

ゲームのサウンドデザインにおいては、生の音声を録音し、その再処理を行い、ゲームプレイのニーズに合わせて様々な方法で編集して、ゲームプレイにおいて明瞭で何度も再生可能なものを作り出します。

そして、「ディアブロ」のようなゲームで必要になるものと言えば、もちろん炎です!時間が許せば、屋外でサウンドを収録することもあります。私たちはBlizzardの本部から遠方まで足を延ばし、カリフォルニア中の砂漠で複数の機器とマイクを用意して、様々なタイプの炎の音を録音しました。

ソーサラーのスキル

録音した炎の音の一部はソーサラーのスキルのファイアーボルト(Firebolt)とインフェルノ(Inferno)に使用されました。ファイアーボルトに関しては、杖や乾燥した中くらいの丸太に火を点け、複数のマイクの周囲で様々な方法を用い、微かにくすぶる炎がブワッと移動する音を録りました。インフェルノに関しては、他に録音していた炎の音を使い、より攻撃的で強力な大型のスキルとして聞こえるように処理しました。


モンスターのサウンドデザイン

「ディアブロ」には倒すべきモンスターの存在が欠かせません。「ディアブロ」を開発していて楽しいことのひとつは、モンスターのバラエティーが豊富なことです。これによってモンスターにオーソドックスなものと実験的なものの両方のサウンドデザインを利用することが可能になります。

モンスターの移動

サウンドデザイナーが新しいモンスターのオーディオ処理を始める際には、私は常に移動アニメーションに足音とフォーリーサウンド(服やスキン)を追加することから始めるように推奨しています。クリーチャーに足音とフォーリーを追加した瞬間に、そのクリーチャーの移動の周期とリズムに命が吹き込まれます。この時点で、クリーチャーの足が地について、この世界の一部になったと考えることができます。また、これによって移動パターンに応じてボイスを発生する程度が決まってきます。

モンスターのボイス

モンスターのボイスとはプレイヤーが攻撃した際に敵があげる唸り声や叫び声であったり、とどめを刺した際にあげる苦痛の叫び声などのサウンドです。

モンスターは系統ごとに大きく異なっているため、モンスターのタイプに応じて、動物的な音の激しいサウンドデザインのレイヤーを用意したり、日常的な物を利用してひっかく音や叫び声を作り出して最終的なボイスに利用します。また、シンプルに動物の鳴きまねをする声優に依頼して核となるモンスターのボイスを作り出し、それを基にして他のサウンドを構築する場合もあります。

ウッド・レイスの場合は、ほぼすべてを木がきしむ音からから作り出し、それを加工して引き延ばし、その中から感情が伝わるサウンドを選びました。ウッド・レイスでは不気味な木がきしむ音に、非常に低い人間の声を組み合わせることで、最高のサウンドデザインが完成しました。

不快極まりない傑作ともいえるフライ・ホスト(Fly Host)のサウンドデザインも楽しいものでした。この獣は歩き回ってハエを発生させてプレイヤーを攻撃します。最終的に、初期に録音した残酷表現用の音源である、キャベツやメロンをちぎったり潰した音や、マヨネーズやサルサや美味しそうなセブンレイヤーディップ(メキシコ料理の多層のディップソース)をぐちゃぐちゃに潰したりしたものを使って作り出した粘着質の不快な音をサウンドデザインに利用しました。


オープンワールドの環境音

「ディアブロ IV」のオーディオの理念のひとつは「生きているオーディオ」です。これはサウンドスケイプが静的ではなく、常に変転することを意味します。この理念は特に環境音などのゲーム内でリアルタイムで再生される音を含めて、私たちが制作するあらゆるタイプのサウンドデザインのバリエーションに表れています。

プレイヤーは非常に長い時間をオープンワールドで過ごすことから、時間とともに微かに変化するオーディオミックスを含めて、それぞれの地域にユニークな音環境を用意したいと考えました。これを実現するために、リアルタイムオクルージョンや高品質なリバーブ、環境音に反応するディレイ/エコーなどのオーディオシステムを利用しました。

環境音が微かに変化していることがお分かりいただけるように、静止画のスクリーンショットを添えてゲームプレイ映像の長い録音を用意しました。これは環境音のクールなサウンドデザインを示すだけでなく、テーブルトップRPGをプレイする際のBGMに利用したり、単にくつろいでリラックスするときに聴いたり、仕事中にBGMとして聞いてもらいたいと考えています。


ダンジョンの環境音

「ディアブロ IV」では、ダンジョン内では「聞こえるものがそこに存在する」という、より現実的なアプローチを取りました。長い残響音やサウンドオクルージョンなどで、プレイヤーに物陰に何が潜んでいるのか注意してもらい、次の敵の集団に向けて気持ちの準備をしてもらいたいと考えています。

破壊可能なインタラクティブオブジェクト

ダンジョン内には爽快感を得られる、様々な破壊可能なオブジェクトが存在しています。インタラクティブチームは「ディアブロ IV」用に数百点におよぶ破壊可能な細かなオブジェクトを作り上げました。これらのオブジェクトは壊れる様子がとても詳細に作られていたので、私たちはその多種多様な破壊されるオブジェクトにふさわしいい物理音を用意しました。


ゲームミックス

最後に、斜め見下ろし視点についてお話ししておきます。ゲーム内のあらゆる要素をひとつにミックスするにあたっては独特な難しさが存在します。戦場が特定の角度と特定の距離で見えることから、画面上にいるすべてのモンスターにオーディオを用意しながらも、すべての音を合わせた際に音が多すぎるとも、少なすぎるとも感じさせないようにする必要があります。プレイヤーにとっての優先順位と重要性に応じて、多くのサウンドのなかから、リアルタイムで再生すべきサウンドを判断する必要があります。

「ディアブロ IV」では、これまで以上にリアルタイムオーディオミックスを取り入れることができました。私たちは特定の重要なモンスターのサウンドを必要に応じて際立たせることができるオーディオシステムを開発しました。複数のプレイヤーキャラクターと様々な数のモンスターが画面上に登場するゲームでは、ゲームオーディオミックスで明瞭性を高めるのは非常に困難であり、その一方で凝った環境音を用意するには、状況に応じて異なるオーディオミックスの方法を利用する必要があります。

今回の「ディアブロ IV」のサウンドデザインに関するお話しをお楽しみいただけたなら幸いです。話したいことはたくさんありますが、それはまた別の機会に譲るとしましょう。この動画と四半期ブログの内容についてのご感想をお待ちしています。「ディアブロ IV」のサウンドスケープについて最後までお読みいただき、ありがとうございました!

– クリス・ジャンパ
「ディアブロ IV」、サウンドスーパーバイザー

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ソース:「ディアブロ IV」四半期アップデート – 2021年10月