「ディアブロ IV」BlizzCon2023 開発者インタビュー
BlizzCon2023にて、ディアブロ4開発者へ拡張「Vessel of Hatred」やQOLの向上、今後のディアブロ4についてなど、メディア合同インタビューが行われました。
インタビューを受けてくれたのは、Joseph Piepiora氏とTiffany K. Wat氏のお二人です。
– 新拡張「Vessel of Hatred」が発表されましたが、舞台はどこになるのでしょうか。
Tiffany:Nahantuが舞台で、以前のシリーズではTorajanと呼ばれた地域です。(Diablo2のAct3で登場した地域)
拠点はKurastという町で、今回の拡張セットでディアブロ4のマップ全体が広がっていく感じになります。
これまではマップに写っていても、訪れることができないエリアがありましたが、今回はマップにあるエリアをどんどん探索するという体験をして欲しいと思っています。
– 追加クラスに「パラディン」や「クルセイダー」を期待していた方も多いと思いますが、完全新規のクラスのようですね。既存クラスではなく新しいクラスにしたのは、どのような狙いがあるのでしょうか?
Joseph:ディアブロのクラスについて考えるときは、まず、ディアブロの歴史を引き継ぐクラスにしたいと思っています。
ディアブロ IV の初期5クラスは過去作で人気だった5クラスです。脳筋のバーバリアン、スピーディーなローグなど、皆さんの思い描くであろうディアブロのクラスです。
新しいクラスを作るにあたり、今までのクラスに追加されても不思議でないクラスにしたいと最初に考えました。
ですので、クラスが公開された時も皆さんも違和感なく受け入れてもらえると思っています。
Blizzardのゲームは長年のファンが多いですから、新しい要素を少し追加するだけでも多くの反響を生みます。新クラスも、その点は考慮しています。
– 「Vessel of Hatred」で新しいクラスが追加される時、クラスごとのバランスはどうなるのでしょう?新クラスに偏ることはありませんか?
Joseph:確かに新しいクラスにプレイヤーが集中することは予想されます。
ですが、現状の5クラスはディアブロや開発チームにとって重要なクラスですから、それらが放っておかれることはありません。また、新クラス追加の際には大きなバランス調整があるはずです。
– 「Vessel of Hatred」のロゴが緑色になっていましたが、どんな意図があるのでしょう。
Joseph:Nahantuはジャングルのエリアで、生い茂る木々に囲まれており、緑色のロゴはそれを表現しています。
また、新しいエリアになるので、これまでとは違った色彩を表現したたくてロゴの色を変えました。
WOW(Blizzardの看板タイトルであるWorld of Warcraftのこと)でも拡張毎にブランディングとして色彩の設定を行っていおり、ディアブロでも同様のブランディングを採用しました。
– 「Vessel of Hatred」でエリアやクラスが追加されることが公表されていますが、アイテムやシステムも新しく追加されるのでしょうか?
Joseph:その点については、まだお伝えできませんが、大きな拡張になることは間違いありません。
プレイヤーが拡張をプレイする時に「楽しい」と感じられるようになるはずですので、期待していただきたいです。
– 「Vessel of Hatred」は追加で購入が必要なコンテンツでしょうか?
Joseph:はい、「Vessel of Hatred」を購入したプレイヤーだけがプレイできるコンテンツです。
– 「Vessel of Hatred」がリリースされるまで、あと何シーズン計画していますか?
Joseph:何シーズンあるかについてはお伝えできません。ただ、(拡張が来るまでの間も)新しいシーズンが来る瞬間を楽しんで貰えるようにしいです。
– 拡張の開発チームとシーズンの開発チームは別にあるのでしょうか?
Joseph:大きく分けて2つのチームがあります。拡張を作っているチームと現状の新しいコンテンツを作っているチームです。
皆さんがパッチノートで見るようなアップデートは、後者のチームが作っています。
– ディアブロ2や3と比べると、シーズンのサイクルが早いのではないでしょうか?
Tiffany:先ほどチームのことをお伝えしましたが、シーズンのチームも2つのグループがあります。
1つが開発、1つが運営です。そのため、スピード感は過去作に比べて上がっているでしょう。拡張のチームも複数のチームがあり、複数の拡張の開発が同時に進行しています。
ディアブロチームは現状かなり力が入っているチームですが、BlizzConのオープニングでPhil Spencer氏がディアブロ4をどれだけ楽しんでいるか語ってくれたとおり、更に増していくことになるでしょう。
もしかしたら、もっとリソース(人員や予算など)が追加されるのではないでしょうか。
– 最近のアップデートで経験値にブーストがかかり、レベル100への到達が以前より容易になりました。少し簡単すぎるという意見もありますが、いかがでしょうか?
Joseph:現状のシーズンで、強くなるまでが早いというのは間違いないことです。
特に吸血力が強力なこともあり、レベルアップのスピードは早まっています。
これは私の考えですが、皆さんゲームをプレイするときは、自分なりの目標を設定してプレイしていると思います。
私は皆さんに「目標は達成できるもの」という気持ちでゲームをプレイして欲しいのです。
また、長期的な目標よりも、短期的な目標を達成できる方が、ゲームとして楽しく感じられるということが分かってきました。
シーズン1では、WT3(ナイトメア)やWT4(トーメント)に到達後、その先の目標を見つけられないプレイヤーが多くいるようでした。
本来であれば、WT3やWT4への到達は通過地点で、その先の目標をプレイヤー自身で見つけられるはずだったのですが、それがうまく機能しませんでした。
また、新しいWTに到達することで強い装備を獲得できますが、それ自体を目標にするのではなく、強い装備を獲得した上で何かをするのが本来の目標であるべきです。
– 新しいコンテンツ「ジアの屠殺場」について教えてください。
Joseph:これはレベル100のナイトメアダンジョン以上の難易度になります。
ジアの屠殺場をクリアすると特別なグリフが手に入り、このグリフは200回強化できます。
ジアの屠殺場は6週間のプレイ期間が設けられており、レベル100に到達した後はこのグリフを強化するのが目標になるでしょう。
– シーズン3で導入されるランキング(リーダーボード)のシステムは、何を基準にしたランキングになるのでしょうか?
Joseph:トライアルシステムと呼ばれるシステムで、試練場というダンジョンコンテンツが追加されます。
ディアブロ2のようなリーダーボードシステムにはしたくないと考えており、試練場には「何かをしろ」という指示はありません。
試練場ではタイマーが設定されており、時間内にどれだけスコアを稼ぐことができるかを競います。
スコアを稼ぐには色々な方法があり、試練場のダンジョンは週1回のペースで変更されます。1週間の間にダンジョンを理解し、より高いスコアを狙うという仕組みです。
試練場ではスコアに応じて紋章が得られます。この紋章のランクが高くなると、高いランクの試練場に挑めるようになります。
毎週、週の終わりにランキングが確定し、自分のランクが決まります。試練場のランキングはリアルタイムで更新され、自分のレベルに近い人達と競うシステムになっています。
なお、2人以上のチーム用のランキングもあります。
試練場には特別な報酬はなく純粋に自分に近いプレイヤーと競うことができるシステムになっています。
ただ、ランキングは誰でも確認できるので、上位に入ることができれば他のプレイヤーに自分のビルドを自慢できるでしょう。
ただ、将来的には何か報酬を追加する可能性もあります。
– ランキング上位者限定のコスメティックは考えていませんか?今のところディアブロ4には、ワールドマップで見かけるプレイヤーのプロフィールを覗きたくなるような要素がありません。
特殊なオーラが出るなど、ランキング上位者限定のコスメティックがあれば、ソーシャル面でも盛り上がると思いますがどうでしょうか。
Joseph:とても興味深い意見ですね。称号なども考えられますが、検討してみます。
– 新しく追加される「マリグナントの指輪」はシーズン限定のコンテンツでしょうか?
Joseph:マリグナントの指輪は、シーズン1で人気があった能力を指輪にしたものです。これらはシーズン2が終了しても、継続して利用できるようになっています。
– 新しい種類の武器が追加される可能性はありますか?
Tiffany:可能ではあります。ただ、エンジニアが決めることではなく、デザイナーが決めることです。
デザイナーによいアイディアが生まれれば、エンジニアが作ってくれるでしょう。
Joseph:ディアブロのようなゲームでは気をつけなければならないことがあります。
それは、アイディアを厳選することです。思いついた全てのアイディアを実現させてしまうと、ディアブロの世界観が崩壊し、今までのディアブロプレイヤーは離れてしまいます。
アイテムにしても、ディアブロの世界に寄り添ったものでなければなりません。どんなに強いアイテムでも、場違いのアイテムになってはいけないのです。
– 過去作のネクロマンサーの蘇生(ディアブロ2)が好きだったのですが、それが追加されることはありますか?
Joseph:今後も各クラスに新しい”オモチャ”を追加する事を考えています。
その”オモチャ”を使って、同じキャラクターでも新しい楽しみ方ができるようにしていきたいと思っています。
– ネクロマンサーのミニオンビルドはベータの時は非常に強力でしたが、ナーフされたことにより、その力を失っています。今後また強くする計画はありますか?
Joseph:私たちはシーズン毎に、各ビルドのバランスを確認しています。
例えばネクロマンサーのコープスエクスプロージョンは強すぎていると思っています。ただ、それを楽しんでいるプレイヤーも沢山おり、その楽しみを奪おうとは考えていません。
また、スケルトンやゴーレムも現状を維持するつもりはありません。しっかり、強化するときには強化します。
ただ、ディアブロにおけるミニオンのバランスは難しいのです。
スケルトンの大群を操るのは楽しいのですが、スケルトンが強すぎるとプレイヤーはただついていくだけになってしまいます。
スケルトンや召喚スキルの難しいところで、「ミニオンを召喚したら、あとは皿洗いでもしてよう」というゲームにはしたくないのです。
ミニオンに関しては、敵がミニオンに与えるダメージを増減させることもできるので、そのような調整も今後考えられるでしょう。
– 今後レベル上限が増えたり、パラゴンボードが追加される計画はありますか?
Tiffany:今はなにもお伝えできません。ただ、プレイヤーに選択肢を与えるため、追加のパラゴンボードも考えてはいます。
Joseph:シーズン2ではグリフを追加しましたが、それも含めて今後もパラゴンは拡張されていくでしょう。
– パラゴンのリセットボタンが追加されましたが、ボード毎にリセットできるようにはならないでしょうか?
Joseph:検討してます。今回のリセットボタン追加は、とにかく早くプレイヤーに早く提供しようと思い、早さを優先した対応となりました。
– シーズン2では特にプレイヤーの要望に応えるQOLの改善が見られました。QOLに関して、多くのフィードバック・反応がありましたか?
Joseph:ベータからシーズン1では、ディアブロ4では「プレイヤーによる選択」を大事にしていきたいと考えていました。
スキルやパラゴンなどの選択肢が多い状態にしたいという考えが根本にあり、その上で、それぞれの選択に意味を持たせたいのです。
ただ、プレイヤーに提示する選択肢がプレイヤーが求めているものではないことがあります。
バランス調整についても、完璧なバランス調整というものはこの世に存在しません。
シーズン2では、プレイヤーが好きな楽しみ方を見つけられるようになりました。
馬が遅すぎるという要望に対して、馬の速度を上げたりバリケードを突破できるようにしましたし、モンスターが少なすぎるという要望にも対処しました。
ただ、全てのフィードバックに対応するのではなく、ゲームが成立する範囲で取り組んでいます。
皆さんからフィードバックを頂き、どうやってゲームに組み込んでいくかを考えるのが私達の仕事です。
フィードバックはとても重要で、それが無ければ良いゲームにはなりません。
発売から現在まで、フィードバックと改善の工程はどんどん改善しており、今後も強化していきます。
– シーズン2でQOLはとても改善しました。しかし、アイテムの厳選に時間がかかり、ゲームのテンポを悪くしていると感じます。これに関して何か考えはありますか?
Joseph:自分が欲しい装備を理解していれば、源泉に必要な時間は短縮されると思います。
ただ、今後は特性の比較を簡単にするなど、アイテムの比較をより楽にしたいと考えています。
また、血の収穫では沢山のアイテムが手に入りますが、正直なところアイテムが多すぎると思っています。
アイテムが大量にドロップすることで、厳選の時間も増加するので、手に入るアイテムの量についても検討中です。
これらの調整をすることで、ゲームのテンポは改善するでしょう。
– 日本のプレイヤーにメッセージをお願いします。
Tiffany:私はディアブロ3を日本向けに展開する仕事をしていたので、日本の方がディアブロ4を楽しんでいただけていのがとても嬉しいです。
日本の皆さんのフィードバックはBlizzard Japanを通じてしっかり受け取っています。
Joseph:リリースから5ヶ月半ほどですが、多くの方にプレイして頂き、ご好評頂けていることを非常に嬉しく思っています。
私自身も日本のディアブロ4 Discordサーバーに参加して、皆さんの声をチェックしおり、生の声を聴いてとても楽しんでいます。
開発チームにも日本のゲームが好きなメンバーがおり、日本からフィードバックを頂けることは、とても嬉しいです。
自分の作ったゲームが全世界で楽しまれていることは本当に嬉しいことです。引き続き、ディアブロ4を世界各地域で遊んでもらえるよう努力します。