[D4] ディアブロ IV 開発者インタビュー(2022年12月)
ディアブロ IVについて、合同インタビューが開催されました。インタビューに答えてくれたのはリードゲームデザイナーの Zaven Haroutunian氏とアソシエイトゲームディレクターのJoseph Piepiora氏の2人です。
この合同インタビューでは、ディアブロ IVで工夫されていることや過去作をどれくらい踏襲しているのかなど様々な質問に答えていただきました。質問の中には、先行体験を踏まえたものも含まれています。
– ディアブロ3からかなり長い期間を経て ディアブロ IVがリリースされますね。これまでの作品を踏襲するか、それとも新しい作品にするか、このあたりのバランスはどうなっていますか?
ディアブロ作品をデザインする上で過去の作品を意識するのは必要なことです。しかし、今回のディアブロ IV はオープンワールド作品となっています。ディアブロ2はスキルの上げ方などのゲーム性、ディアブロ3はアクション性やモンスターを倒すときの手応えなどを良いフィードバックとして頂けました。
これらのフィードバックをオープンワールドの世界で活かしながら、今作品を仕上げていくつもりです。
– 各クラスが持つファンタジーやプレイヤー体験についてはどのように考えていますか?
プレイヤーの選んだクラスファンタジーやクラス毎に特色を持たせる、という点に関しては過去のディアブロと同じようにできているはずです。しかし、クラスが持つファンタジーにフォーカスしすぎると、新規のプレイヤーを置いてけぼりにしてしまいます。そのため、これらのファンタジーは、ストーリーを楽しみながら進めていく上で徐々に感じられるように作っています。
従来のプレイヤーが楽しみにしているであろうクラス毎のビルドの深い部分はもちろんありますが、それはゲームを進める上で少しずつと楽しめるようになっています。
– リリース後はライブサービスとして運営されるそうですが、新しいエリアやストーリーの追加を考えているのでしょうか?また過去作のキャラクターが登場したり、期間限定のイベントなどは考えていますか?
現状では詳しくお伝えできませんが、1年に3シーズン~4シーズン行う予定で、毎シーズンイベントを開催する予定です。新しいキャラクターを追加したり、昔のキャラクターを再登場させたり、マップを広げたりして、サンクチュアリの物語をもっと広げたいと思っています。これらの情報はもうすぐ公開できる予定ですので、楽しみにしていてください。
– ディアブロ2 では特定の狩り場を回り、ディアブロ3 ではリフトを周回しました。ディアブロ IV のエンドゲームコンテンツはどうなりますか?
3つの核となるエンドコンテンツを考えています。
1つ目は、ウィスパー・オブ・ザ・デッドと呼ばれています。ゲームを進めると開放される各地のアクティビティで、クリアすると報酬がもらえます。その報酬にはレジェンダリレベルのアイテムも含まれています。
2つ目は、ナイトメア・ダンジョンです。印を集めることでダンジョンに入ったり、そのダンジョンをアップグレードすることができます。またパラゴンを強化することもできます。
3つ目はヘル・タイドです。これは全世界の難易度をあげるもので、ハイリスクハイリターンなプレイを楽しめるようになります。
– 敵のレベルのスケーリングはどうなっていますか?プレイヤーの進行度によって変化するのでしょうか?
ベースとなるゲームデザインとして、ディアブロ IV はオープンワールドで提供されており、そこには自分以外のプレイヤーもいます。プレイヤーによって敵のレベルを変えるシステムには苦労しました。
例えば、レベル5のプレイヤーの側にレベル45のプレイヤーが通りかかった時、レベル45のプレイヤーにあわせて敵のレベルが上がればレベル5のプレイヤーはすぐに死んでしまいます。逆にレベル5のプレイヤーにあわせた敵のレベルでは、レベル45のプレイヤーが敵を瞬殺してしまいます。
ディアブロIVでは、プレイヤーのレベルに合わせて敵が与えてくるダメージが変わります。敵はプレイヤーの体力に対して割合でダメージを与え、レベル5のプレイヤーとレベル45のプレイヤーは一見すると同程度のダメージを受けているように見えます。ただ、実際の数値では与えるダメージも受けるダメージも、何倍も差があります。
なお、ストロングホールドというエリアでは、挑戦する前にレベルを選択できるようにするつもりです。そうすることで、自分あるいは仲間のレベルにあわせた設定ができる予定です。
– デモプレイの中でブッチャーが登場しました。恐ろしく強かったのですが、これはデモプレイ限定のテストだったのでしょうか?
ブッチャーはシリーズ皆勤賞のキャラクターですので、ディアブロ IV にも登場させたいと考えました。今作のブッチャーは、ディアブロ III におけるトレジャーゴブリンのような要素になっています。
ただし、逃げ回るトレジャーゴブリンと違って、ブッチャーはプレイヤーを殺しにきます。ブッチャーしか落とさないアイテムもありますし、なによりブッチャーは殺すか殺させるかしないと消えません。
ブッチャーはあらゆるダンジョンでランダムに登場します。
– ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)の部分ではどんな工夫をしましたか?
UI、UXに関してUXチームは本当にいい仕事をしてくれたと思っています。今回のゲームはキーボード&マウスでもコントローラーでも遊べるように考えて作りました。どちらかで先に設計するのではなく、最初から両方の操作を想定して作るのは大変でしたが、どちらでも操作しやすくなっていると思います。
また、今回はクロスプレイに対応していますので、同じプレイヤーがキーボード&マウスからコントローラーに持ち替えても、同じ感触でプレイできるように心がけています。
UXの面で注意したのは、ゲーム内の説明の部分です。何かを知りたい時にカーソルをあわせることで説明が表示されますが、その時に表示される情報はプレイヤーがすんなりと受け入れやすいように工夫がされています。
– これまでディアブロを遊んだことがないプレイヤーを取り入れるための工夫はありますか?
2つあります。
1つ目は、ディアブロ3で好評だったアクション部分を磨いたところです。新規プレイヤーがプレイをはじめてすぐに楽しい感覚を味わえるようにしました。また、モンスターがどんなことをしてくるか、新規のプレイヤーでも理解できるように工夫しました。世界観も同様に、新しいプレイヤーでも受け入れやすいように注意しています。
2つ目は、プレイヤーがどのようにストーリーを展開していくかを工夫し、没入感を得られるようにしました。プレイヤーがゲームの世界に入ってしまうような、プレイヤー自身がキャラクターの世界を感じられるように工夫しました。
–ディアブロ IV のボスとして「リリス」が選ばれたのは何故でしょうか?
今作で注力したのはサンクチュアリ(ディアブロの世界)をどう見せるか、でした。サンクチュアリはリリスとイナリリスによって創られました。今回はサンクチュアリに住んでいる人にフォーカスし、どんな風に生活しているかを見せたかったのです。そのため、サンクチュアリを造ったリリスを選びました。
– ディアブロ3からディアブロ IV までの間の数十年のストーリーを、ゲーム内で知ることはできるのでしょうか?
ディアブロ IV では、ディアブロ3であった砂漠エリアを再訪することになります。砂漠エリアだけでなく、他のエリアも登場しますので、ディアブロ3を懐かしむこともできると思います。
– ディアブロ2では5分くらいプレイしてはゲームを再作成して、エリートやチャンピオンをリスポーンさせてトレハンをしていましたが、ディアブロ IVではどうなるのでしょうか?
ディアブロ IV では、このようなプレイはあまりしたくないと考えています。特定のアイテムを手に入れるために、同じモンスターを狩り続けるというゲーム性にしすぎないようにしたいのです。とはいえ、このような行為(所謂グラインド)の要素はところどころには残そうとも思っています。
– コントローラーでプレイする場合、右スティックはターゲッティングに使用します。ディアブロ イモータルのようにスキルの射出方向を選択することはできるでしょうか?
現状、リリース段階ではそのようなことは考えていません。右手でボタンを操作しながら、更に右スティックを操作するのは難しいと思うからです。ただ、右スティックを押し込むことでモンスターをターゲッティングできるようにすることは検討しています。
– ディアブロ イモータルでは、 ヘル以降は2人以上いないとダンジョンに潜れないなどの制限がありました。ディアブロ IVのマルチコンテンツは1人でもプレイできるのでしょうか?
ディアブロ IVはストーリーにフォーカスしているタイトルです。ほぼすべてのコンテンツを1人でプレイできます。ただし、ワールドボスなど複数人プレイ前提で作られているものもあります。ただ、イベントなどは1人で進めることができますので、イベント進行中に、他のオンラインのプレイヤーが周りをうろうろしている、ということはありません。